(2002/3/12記) あの恐ろしくも有り難かった針治療から 9年後、鍼灸の道を目指すことになる。 私はなぜ53歳にして鍼灸専門学校に入学したか?
これだけの条件がそろえば、目指さざるを得ない。 天啓だ。 行きたい。行くべきだ。 だが、障害は多い。 (2002/3/14記) 障害の解決法
家業は朝7時から夜9時まで、正月3が日以外は無休である。 鍼灸学校は電車通学の場合、片道50分かかる。 車なら15分くらいで通学できる。 時間的に体力的にどうしても車が必要である。 (2002/3/14記) 自動車教習所に入った 鍼灸学校受験は1年延ばして、自動車教習所に入所した。 おしなべて指導員は親切である。 「怖い! 怖い!」 「無理して取らなくてもいいんじゃないの?」 「分かっているけど、手と足が間に合わなくて」 「せめて、40歳までに来れば楽だったのに」 「クラッチの感じが分からないから、はだしでやってはいけませんか? 」 「痛いですよ。ずーっとはだしって訳には行かないでしょ? やっぱり慣れなくちゃ」 「交差点は一番、外を注意しなくちゃならないのに、 ギアの入れ替えの手間が忙しくなってるんですねえ?」 「来年来れば、オートマの限定免許がとれるのに」 4時間やっても出来なかった。 「S字コースのような道路は、現実には無いでしょ?」 「これが出来ないと卒業できないですからねえ」 坂道発進では 「エンジン音が変わるのが分かりません」 「この手順でやれば大丈夫」 ぎっくり腰の指導員が素晴らしい教え方をする。 「こんばんは」 「夜は、やりにくいでしょ」 「私、夜学に通う予定なんです」 「こんにちは」 「あんた、まだ居たの?なにができないの? きょうは、出来ないことを集中的にやろうか?」 「教習所のアイドルになってないで、 はやく、卒業しなさいよ。お金がもったいないよ。 出てから覚えられるから」 「怖いから、自信がつくまで居たい」 「何度教わっても出来なくてごめんなさい」 「「出来ない人のために教習所はあるんですよ」 「ここでは私が最高齢ですか?」 「今はそうですが、80歳の人を教えた事がありますよ。 後方確認では首がが回らないので困りました。 人体工学を勉強したり、工夫したりで、1年かかって 免許が取れました。自分もいろいろ勉強になりました。 高齢になると視力も問題ですしね。 あなたは、まだいいほうですよ」 運転は怖いけど指導員は優しい。 皆さんが労わって教えて下さり楽しい教習であった。 実車64時間、卒験4回、半年かけて普通自動車免許を取った。 (怖いけど、ばんざーい!) (2002/3/14記) いよいよ鍼灸専門学校の入試へ (一昔前のことなので、記憶違いがあればお許しください) 12月 入試準備 高校の卒業証明書 1通 34年前に卒業した高校から郵送 戸籍抄本 1通 市の出張所に行く 健康診断書 1通 かかりつけの医院で 写真 4枚 写真屋で3*4センチのもの 入学願書 1通 用紙を専門学校から 1月8日 願書1式と受験料22,000円を書留で郵送。 1月10日 受験票が届く 1月27日 第1次入試(これで落ちたら2次の願書を出すつもり) 8時30分 集合 8時50分 説明 9時 学科試験
12時〜3時50分 昼食と待ち時間 面接 (十数人の試験官が居られてびっくりする) 塗り箸で豆(大豆かピーナツか忘れたが)を はさんで、お皿に移すテストをした。 問1 この学校をどうして知ったか? 問2 動機 問3 生活費、学費はどうするか? 問4 遅刻、欠席はしないか? 問5 子供の世話はどうするか? (運転免許を取ったことをアピールした。 資格ともいえない、ありふれたものだが、 私にとっては命がけだったから、 この熱意を知って欲しかった. どうしても合格したかった。) 1月29日 学校から、2月1日6時に再面接の知らせがある。 2月1日 午後6時 (今日は2人の試験官) 以下について尋ねられる。 通学方法と時間 自動車の運転 うちの家業 家族 夫の眼、視力 学科試験の結果(チョッと褒められたー意外)) 痔と針治療 私の健康 試験官のお話 夜間部は社会人が殆どなので思いやりが あって年配の貴方にはよいでしょう。 今年の入学者は国家試験の2回目に なるので難しくなり、年配の女性は 敬遠したようです。 あなたのほかには一人だけです。 年齢的な記憶の悪さは人生経験と熱意で カバーして下さい。 合格の書類を頂いて帰る。(道々、暗闇でウキウキ飛び跳ねて帰った) (2002/3/14記) 合格した。さあ、通学準備だ! 2月3日 誓約書を清書する。 合格証と誓約書2種類を郵送する。 自動車の運転練習 弟と姪に協力してもらって、通学路を3通り走ってみる。 遠回りでも難易度の低い道を選ぶ。 専門学校の駐車場で車庫入れの練習をする。 2月8日 学納金を振り込む。(平成3年時) 入学金 669,500 授業料3か月分 159,000 施設維持費 154,500 施設拡充費 309,000 実習費 75,000 清掃代 36,000 身分証明書発行料 2,100 暖房費 24,000 旅行積立金(1回のみ)10,000 同窓会入会金 38,000 合 計 1,477,100 3月29日 入学式の案内状が届く。 3月31日 自動車の運転練習 初めて一人で学校まで2回、走った。 学校のそばの細い道には入らなかった。 (教習所のS字コースそっくり。 対向車も来るから教習所より怖い)) 4月7日 入学式 教科書販売で重いので、覚悟を決めて 自動車で行く 1時間前に出発。 (ノロノロ走って20分で行けるが) 10時40分 説明 11時から 入学式 12時から 説明、白衣試着注文、 教科書、教材購入(71,700) 1時30分 帰宅 (2002/3/14記) 鍼灸専門学校の授業
保健体育は実技もあった。 年齢的に見学を覚悟したが、適切な指導のもとに参加できた。
国家試験は11科目だったと思う. 国家試験には実技は無いが、学校で厳しい試験が何回もあった。 (2002/3/17記) 入学前の私の”授業のイメージ” 毎日、畳の部屋に正座して、 ツボにハリをチクチクさし続ける。 どの病気にはどのツボと決まっている。 記憶力が悪いと、間違えて、大変な事になる。 私は年齢的に人の4倍復習しなければダメだろう。 先生は手を添えて刺すのを手伝ってくれる。 覚えてくると一人で刺す練習になる。 「それではだめ」「それでよい」と言われながら。 教科書と教室と時間割を見てびっくり 中学や高校のような教室。 机や椅子が整然と並んでいる。 黒板もある。日直の氏名が書いてある。 理科室で見たような等身大のガイコツたち(骨格や、 内臓の分解できる模型)が沢山並んでいる。 厳粛な気持ちになる。 意味ありげだが訳のわからない張り紙「五臓の色体表」 教室の壁の時間割。 実技の時間より学科の時間が多い。 勉強の内容を調べないで入学した。 家業が忙しいのに、熱意や努力ですむ事ではない。 入学許可された以上、何とかしてビリの人(失礼!)に、 ぶら下がってでも卒業したい。 同じクラスにいる新卒の学生服の若者がまぶしく見えた。 (2002/3/17記) 懐かしい同級生たち(記憶違いを許してね) (入学時)
同じ目標に向かって励んだ仲間。 同級生から学ぶ事がとても多かった。 授業中に恥ずかしくて質問できない事は 休み時間に同級生に教わった。 同級生であり師であった。 脈が取れないとき、腕が痛くなるのを我慢して、 1時間も診させてくれた人。 自習時間中マッサージをしてくれた人。 家族の病気の相談に乗ってくれた人たち。 いろいろな悩みを聞いてくれた人たち。 年齢的に敬ってくれ、年齢的に対等に扱ってくれた人たち。 車庫入れ、車庫だし、誘導、時には運転もしてくれた人たち。 (2002/3/19記) 授業始まる 4月10日 授業始まる。 {日直の仕事} 黒板管理・消毒液の点検・お湯の用意(ハリの消毒)・実習の準備・ 日誌を書く・タオルの用意・冷暖房の管理など 自己紹介をした。 * 通学に3時間かかる人。 * 有名大学の在学生。 * 沖縄出身・北海道出身・金沢出身の人たち。 * 接骨院・病院に勤務している人たち。 * 看護士や薬剤師やマッサージ師,柔道整復師などの 資格を持っている人たち。 * 高等学校や大学の新卒者たち。 そうそうたるメンバーが同級生であった。 ぬか枕を作る宿題がでた。 (直径10センチくらいの容器に、ぬかを硬くなるまで 詰めて、絹の布で覆ったもの.刺鍼練習用) 4月13日 {心理学}はフロイトを学ぶ。 大学生のように若い先生。知識が豊富で話が面白い。 まるで泉から湧き出るようである。 話を聞いている分には、飽きないが、覚えよと言われたときには、きっと困る。 {経絡経穴学}の先生は、実際の年齢よりずっと若く見える。 マラソンや登山を本格的にされる。 声が大きく、顔の色艶もよく、活気が溢れて素晴らしい人。 このような先生に大切な経絡や経穴を教えて頂けるのはうれしい。 4月17日 {古典}の時間に中国針の昔のものを見せて頂いた。 同級生で下痢をした人がいた。 先生がその人の足の親指の外側とすねの内側に針を打った. 見ているうちに、汗が出てきた。治るらしい。 4月20日〜21日 箱根でガイダンス 私は家業の都合で欠席。(行きたかった) 4月23日 新入生歓迎会 2年生主催(教室) 夜間部の1〜3年生が集まって自己紹介と質疑応答。 8時から飲食店で2次会。 薬剤師でもある3年生が 「経穴と、解剖学での筋肉の名前、特に その筋肉の端から端までをよく覚えるように」と言われた。 4月29日 初めて人体に鍼を刺した! ぬか枕に刺す練習が始まったばかりの頃。 「早く人体に刺してみたい」とわくわくしていた。 明日は実技の授業がある。 道具の整理点検をしていた。 ふっと、自分のおなかに刺してみようと思った。 おなかは広くて骨もなく柔らかく痛くもなさそう。 自分で刺すには、見えやすくていい。 ちぎった脱脂綿に消毒用アルコールを含ませて、 指と鍼とおなかの皮膚を消毒した。 息を詰めて思い切って刺した。案外簡単だった。 「なーんだ、ぬか枕よりよっぽど楽に刺せる。 痛くもないし、いくらでも深く刺せそう」と 真夜中だったが、おなかに鍼を立てて、ひとりで悦に入っていた。 鍼を刺す、人の体に金属の棒を刺し入れる、考える だけでも恐ろしい事だが、自分がこの道を選んだのだ。 「でも一段階克服できた。案外やってみれば簡単」 刺すときは緊張したが、抜くのは怖くない。 引き抜けばいいだけ・・・・・ ところが鍼はびくとも動かない。 「あら、もっと力を入れなければ・・・うーん」 おなかって柔らかいのに何でこんなにしっかり刺さっているんだろう? 「うーん・・・うーん・・・うーん・・・」 ああ、どうしよう、抜けなくなってしまった。 こんな夜中におなかに鍼をたててしまって・・・ 女がおなかを出しただけでもみっともないのに、 鍼を立てているなんて・・・ 夫にも息子にも助けを求めるわけには行かない。 女の子を産んでおけばよかった。 このままではどうしようもない。 最悪、救急車のお世話に・・・・・ああみっともない。頭に血は上るし、動くのは怖いし、声をあげる訳にも行かないし、進退窮まれり。 鍼を持つ手に力を入れれば、おなかにも力が入ってしまう。おなかの力を抜くと手に力が入らない。 おなかと手が揃ってしまって、自分の体が思うようにならない。なんて意地悪な・・・ 考え通りにならない体が、にくったらしくさえなってくる。仕方がない。おなかに力が入っても気にしないでやるしかない。 渾身の力をこめて引き抜き作業をした。体中が熱くなった。 やっと抜けた。 抜けた針が折れていないか、針先をよーく見た。 折れていない。曲がってもいない。血も出ていない。 針先に細い白い糸が1センチくらいぶら下がっていた。消毒綿が針先についていたのを知らずに刺してしまったらしい。 なーんてそそっかしい、家族に知られなくて良かった。たった1本の鍼のためにヘトヘトになった。 次の日の休み時間に同級生に話した。 「夜中でも電話をくれればよかったのに」 「その鍼のそばに、もう一本鍼を刺せば簡単に抜けるよ」 「その近くを指で刺激しても抜けるんじゃない」 「ビックリして緊張したから、なおさら抜けなくなっちゃう.落ち着いてしばらく待てば抜けるのに」 「腹部はやたらに鍼はしない方がいいんだよ」 「刺したければ足がいいですよ、三里のあたりなどが 無難でしょうね」 「その白い糸みたいなのもは筋肉の繊維ですよ。無理に抜いたから、絡み付いてしまったんですよ」 「ずいぶんすごい力出したんだねぇ。痛くなかった?」 同級生の数がだんだん増えてきて、いろいろ教えてくれた。 昨夜は死に物狂いの苦しさを味わったが、今日は幸せだ。私よりみんな若いのに、よく知っている。親切に教えてくれる。 年下だけれども、この道ではみんな私の先輩。 頼れる人が大勢いて、ほんとに幸せ。 先走ってはいけない。教わってからしよう。鍼は 刺せれば良いって言うものじゃない。 刺すということには、沢山の意味が含まれているらしい。 生まれて初めて刺した鍼は大失敗だったが、 この1本の鍼から沢山の事が勉強できた。 4月30日 経絡経穴を覚えるために、単語カードを10冊買った。 5月1日 {実技}の時間に大根、かぼちゃ、サツマイモ、ごぼうに針を刺す練習をした。 ぬか枕は刺しにくかったがだいぶ慣れた。 なんでも刺せるような感じがしてきた。 長い針は、刺し始めが難しい。 5月9日 {体育}の授業 屈伸・腕立て伏せ・目をつぶって片足立ち20秒、など色々やった. 曲がりなりにも全部出来たので気分がよかった。 (バナナ足) 内股で歩く足首の形をいう。 エアロビやダンスのプロには、なれないそうだ。 (あおり足) 足首が硬く土に足全体を付けてしゃがめない人が 平泳ぎをするときの足の形。 (準備運動) スポーツを1時間するとき、その前後1時間づつは、 準備運動・整理運動をすべきである。 特に足首のひねりをすべきである。 5月14日 4階の実習室に初めて入った. ベッドが20くらいある。 3年生と一緒にあんま・マッサージなどの講義を聞く。 3年生が親切に組んで実習させてくださった。 肩こりを例に実習した。 5月16日 首や肩が痛む。同級生2人が治療してくれた。 寝違いではなく、使いすぎと言われる. 2〜3日仕事が忙しかった。よく分かるなーと感心した。 動かさなければ痛まなくなった。 5月17日 先生の作られた”硬い硬いぬか枕”に針を刺す練習。 寸3−3を1本刺しただけで、1時間が終わってしまった。 (鍼の長さ 4cm、太さ0.2mm) {鍼灸古典}はグループ学習。。 4人で”3才”についての発表の準備をする。 5月23日 {体育} (なわとび) 一人で飛ぶだけなのが出来なかった。何故か分からない. 子供と一緒に2重回しをやった事もあったのに。 先生は「年齢は関係ないのですが?」と言われた。 うまく出来ないうちに疲れた。 他の人が回して5人で一緒に飛ぶのは出来た。 私が疲れて、12回で終わりになった。 (ポートボール) バスケットボールのゴールが人間と言うだけのもの。 面白くて飛び回った。 5月28日 O先生 実地に体を治療する事が大切。 完全に習ってからではなく、何でも、とに角やってみること。 鍼では切皮だけでもどんどんやってみる。 整体も、吸引もやってみる。 半年くらい、一人の体の経過を見ながら治療できると、とても勉強になる。 希望なら2〜3人でも教えてくださると言われた。 6月9日 O先生と卒業生2人とで公民館で教えてくださる。 (吸引) グラス15個使用。 場所は背中、お腹、大腿部の後ろ側。 (灸頭鍼) 灸頭鍼用の鍼の鍼柄にウズラの卵大のもぐさをつける. 一本の鍼で5回くらい。 (切皮) 背中に切皮しただけで置鍼。 6月11日 初めて刺した相手が真っ青になって倒れた! 鍼の実技の時間。 先生の指示により2人1組の、組み合わせが発表される。 刺される人はベッドにあがり腰をおろして片膝を立てる. 1.立てた脚に「足の三里}を取穴する。 2.そのツボに黒色の灸点ペンでマークする。 ピカピカ光った銀鍼寸3−3 を使う。 (鍼の長さ4cm、太さ0.2mm、) 3.刺す人は、左手の人差し指でそのツボを丁寧に、 撫でたり軽く押したりして「鍼を入れますよ」の 前触れを行う。 4.左手の親指と人差し指をツボの上に置く。 5.その指の間に右手の親指と人差し指で、 つまんだ針の先端部分を皮膚に接触させる。 6.ほんの少し鍼を回転させ、軽く押す。 7.針を曲げないように、痛くしないように、 無理に押し込まないように、少しずつ 入っていくのを待つ。 2cmくらい入れられれば良い。 8.そこまで出来た人は、手を上げて先生に、 見にきて頂く。 9.抜鍼する。 私の相手の方は30歳の男性。 中学生の頃から東洋医学に興味があって、 多くの書物を読んでおられた人。 緊張でコチコチになっているのを見て、 気の毒がっている。 「大丈夫ですよ.思い切ってやってください。 そこで良いんですよ、痛くないですよ、どうぞ」 と助け舟を出し続けてくれる。 長い時間をかけて、やっと皮膚を突き抜けた。 その後はスーッと入っていった。 助け舟の声がしなくなった。 おやっ?と思って相手の顔を見上げる。 色白の顔が、ますます白くなっていく。 「どうしたの?大丈夫?」 「大丈夫・・・大丈夫・・・です。う〜ん」 先生が気付いて、来てくださった。 「あら、Mさん そう」Mさんの様子を見て 「大したことないわ、ほっといても いいようなものだけど、やって見ましょうか?」 先生はMさんの手の甲に素早く鍼を打った。 Mさんの顔色は鍼を刺しているうちに血の気がさしてきて元通りになった。 「かるーい貧血でしょう。しばらく横になっていれば治りますよ。」 「治りました、もう大丈夫です」とMさん。 私はびっくりしてボーっと見ていた。 「ごめんなさい。大変な事しちゃって、 ごめんなさい」 「いやー、どうってことないですよ。 こんな事になって僕こそすみませんでした」 とMさんは直ぐ起き上がりました。 「私の刺し方が悪かったのね。どうしてこんな事に なっちゃったのかしら?」 先生は「刺し方のせいではありません。よくある事ですよ.しばらく横になっているか、今のように返し鍼をすればよいのですよ. 初めての鍼でこうなって、とても貴重な体験が出来て、かえって良かったじゃない?気にしない。気にしない」と先生は慰めてくださった。 90分間の授業中にたった1本の針を打っただけだった。 とても疲れた。 6月12日 右腕と左脚が凝って痛くなっていた。 昨日は、鍼の恐ろしさを垣間見たようで、なぜこんな 恐ろしい道に踏み込んでしまったのかと、悩んだ。 鍼1本で人の命を助けられるかもしれない。 その裏には、鍼1本で人命を左右することもありうるということ。。 鍼1本の操り方如何で重大な結果をもたらす。 多くの臨床の法則のうちの一つをうっかり 失念してしてしまったら、大変な事になる。 人の命を左右しないですむ職業を選択すべきだった. 大事を起こす前に逃げ出してしまいたい。 やっとの思いで入学できたのだから、誰にも話せない。話しても解決できる問題ではない。 子供じゃあるまいし「やーめた」とも言えない。 自分の頭の中で解決しなければならない。 しっかり勉強して、精神力を強くもって、危険な事は 避けられるように、冷静に治療できる人間になろう. 「大勢の人がやっているのだから、見習えば出来ない筈がない」と自分自身に暗示をかけよう。 いろいろな状況が収斂されて、すべてが指し示す道がこの道であると確信して、入るべくして入った道なのだから 逃げ出してほかの道があるのか?、 楽な道、その先は希望がない。 いろいろな考えが堂堂巡りをして、気が重い。 6月19日 今日は足の取穴の実技がある。刺鍼はない。 足を洗って登校した。 念のため、アルコール綿を多めに持っていく。 6月25日 来週から期末テスト。 時間割
これからの予定 7月 8日〜13日 試験結果講評 10日 購買(鍼・艾・本・道具などの出張販売) 12日〜13日 追試・再試 16日〜17日 追試・再試 19日 成績発表 22日〜27日 補講 8月 1日〜30日 夏休み 10月15日 健康診断(胸部レントゲン・尿検査) 6月29日 放課後、何人か残ってお互いに刺針の練習をしている。期末テストを控えて真剣にやっている。 私もなんとなく残っていた。 スポーツのインストラクターをされているKさんが、ぼんやりしている私に声をかけてくれる。 「足の三里に刺鍼してみませんか?」 筋骨逞しく筋肉も堅そうなので躊躇した。 親切に感謝しながら思い切って、鍼を持つ。 案外簡単に刺す事が出来た。 「痛くないですよ。スムースにいきましたね」 貧血も起こさずに、いつもの笑顔のKさんが頼もしかった。 あれ以来、臆病風に吹かれていたのが、たった 1本の鍼で悩みは吹き飛んでいった。 いくら考えても出口が見つからなかったものが、 同級生の思いやりで、たった1本の鍼で、心が軽くなった。 実技の授業は先生が居られるので安心。1本でも多く 刺鍼の練習をして経験を積んで、卒業するまでに少しでも上手になろうと考えた。 (卒業するまでの3年間に貧血を起こした人はいなかった。先生のおっしゃる通り、貴重な体験であった) 6月30日 同級生のMさんに治療の極意を聴いた。 理屈がわかっていてもダメ。 何年やっていてもダメ。 病人に乗り移るような気持ちを持って治療に当たる。 ここをこうすれば、こうなって治るをイメージして、 邪心を払って、集中して治療する。 どうしても治す、痛みをとると思ってやる。 信念、集中力、イメージ力が大切である。 今まで知らなかった世界であった。 7月1日 今日から期末テスト 解剖学 範囲が決まっていた。 7月2日 衛生学 授業中に配られたプリントを中心に出題されていた。 東洋医学概論 五行色体表と陰陽の問題 7月3日 医療概論 世紀ごとの特徴、人名、倫理の問題。 鍼灸実技 銀鍼 寸3−3 足の三里 5分以内 7月4日 解剖学 7月5日 鍼灸古典 陰陽5つの定式と三才について 7月6日 心理学 ノート持込可 経絡経穴 ”打ち上げ”に参加 ビールを少し飲んだ。 7月18日 同級生のMさんに習って胃下垂の治療の灸をし始めた。 (これが私の体をがらりと変えることになる。 この時は、ツボの位置を覚えられたら良いな、 くらいに考えていただけである。。 この体験を知ってもらう事によって本当の健康になれる人が増えることを確信している。別に詳しく書きたいと思う) 8月6日 3年生の治療実習に参加させて頂く。 足部2ヶ所で胃の辺りの圧痛を取る。 腕の痛いところが、2ヶ所鍼刺で治った。 (私には理論、経絡、ツボが分からないが) 8月20日 実習に患者として参加。 肩こりと背中の痛み。 患部に直接鍼を刺さないで、患部がかかわる経絡に針先を 接触するだけで痛みやしこりを取る. 先生の手に当てた腕や手首を、上下左右に動かしたり力を入れたり 曲げたりしたとき、どこに痛みを感じるかを調べる。 鍼を扱うより経絡を探すのに時間がかかる。 治療してくださる3年生にいろいろな話を聴く。 8月27日 実習に患者として参加 先生がお手本として治療された。 3年生のHさんが脈の取り方を教えて下さる。 脈を取る位置の覚え方も「はひふ、心が肝腎」ですよ.と 教え方が上手である。よく理解して身についていると思った。 9月2日 2学期が始まる。即授業開始。 9月30日 このところ毎日、自分に鍼を打っている。 寸3−3は慣れた。寸6は難しい。 10月2日 寸6−3で足の三里、刺鍼テスト。 10月9日 鍼灸実技 取穴テスト。 11月12日 ラットの解剖をした。(2時間) 体調15cmくらいの白いねずみ2匹。 何十代も実験用に飼育され、無菌で人の手より清潔という。。 籠から持ち上げられてもじっとして大人しい。 暴れたり、嫌がる素振りをしたら可哀想だと思っていたが、 解剖されるのを待っているような感じなので、 思ったよりつらい感じがしなくてすんだ。 先生が麻酔注射をしてメスで開く。 横隔膜を切って穴があいたら、呼吸が止まったが、 心臓は動いていた。 肝臓は模式図のようだ。 膵臓は血の塊。 胃は白っぽい。 膀胱の後ろに子宮、その後ろが大腸。 始めのうちはみな遠慮がちであった。 先生の解説を聞くうちに、真剣になり、熱中してくる。 2体のラットの体に、こんなに臓器があったのかと 思うように台の上はいっぱいになった。 無駄なく、きちんとラットから学んだと感じた。 12月3日 今日から8日まで期末テスト。 10科目 解剖学(S先生) 解剖学 (T先生) 衛生学 東洋医学概論 鍼灸実技 鍼灸古典 鍼灸実技(理論) 哲学 経絡経穴学 医療概論 12月9日 テスト返却 12月20日 成績発表 通知表をひとりずつ手渡された。 私は、「ごくろうさま」といわれた。 35年ぶりの通知表は感無量。 1月6日 経絡経穴を単語カードに書いてポツポツ覚えていた。 冬休みになってやっと12経脈361穴を覚えられた。 東洋医学のツボは、英語のアルファベットだと考えた。 基本を覚えていないと、授業についていけないと思ったので 努力した。 ツボの位置は分からないものが多い。 1月8日 授業開始 (2年生) 6月7日 国立大学医学部見学 実習室で黙祷してから見学する。 (3年生) 8月1日〜31日 夏休み 9月中旬 前期テスト 9月29日〜10月2日 学期間休暇 10月 3日 第1回校内模擬試験(学科) 10月 4日 後学期開始 10月26日 健康診断(X線・尿検査) 12月 5日 卒業試験(口頭試問・鍼灸実技) 12月 7日 国家試験の願書作成 (写真6*4・抄本・印鑑・受験料) 12月22日 Y先生主催の開業についての ミーティング(ミスタードーナツにて) 1月 9日 第2回校内模擬試験・卒業試験学科 1月31日 終了 2月 自宅学習 2月14日 受験票受け取る 2月27日 国家試験 3月20日 卒業式 |